2023-04-14
個人開発SaaSで収益化して、飯を食っていくためにやるべきこと
会社員生活をやめて個人で飯を食っていく生活への理想を掲げて早5年。気づけば50歳に突入した。
一口に個人で飯を食っていくにも、様々なパターンがあるが、雇用形態が正社員からフリーランスになっただけでは意味がない。
自分でビジネスを考え、行動し、収益を得るまで、自分の裁量だけで生活可能な安定収入を得てこそ価値を生む。
すでに決められた仕事や課題をこなすだけなら会社員のほうが精神的にも安定するし、社会的な信用力も高い。
ウーバーイーツやアマゾンの配送などでフリーランスをやるぐらいなら、面倒でも会社という組織の中に入り、法律で守られた雇用される正社員の立場で毎月安定した給料をもらったほうが良いだろう。
社畜と呼ばれ、会社員生活を揶揄する声もネット上では多く見られるが、社内の人間関係で精神的に追い込まれる可能性はあるものの、正社員での生活として金銭的なストレスによる生活不安リスクは低く、担当業務のスキルさえあれば安定収入を得られるのだから、会社員で働くメリットは多い。
もっと言えば、大したスキルがなくても収入が得られるのが会社員の特権といえる。
一方、自分で事業を立ち上げ、生活を安定化する規模まで収益化するには、先も答えも見えない世界で戦う必要がある。
エンジニア界隈でにおいて、個人開発したSaaSで収益化するのは希望であり夢の世界と言われる。
SaaSビジネスの最大のメリットは、物理的な初期投資をほぼゼロの状態から始められる点だろう。
設備投資はサーバ代と作業用PC、自宅にネット回線さえあれば、ビジネスはすぐに始められる。
店舗経営と違い、超スモールスタートで気軽に始められる点が魅力だ。
言い換えれば、気軽に始められるが故に、多くの人が挑戦し、昨今はSaaSの急増で、たいていのやりたいサービスがすでに存在している。レッドオーシャンといっても良い。
SaaSは店舗のような物理的な制限もなく、日本全国はもちろん、多国語対応まで行えば世界相手だって商売可能だ。
言い換えれば、サービスのクオリティやサポート体制、もちろんアイデアや機能において、事業として採算が取れるだけの顧客を獲得できるかが勝負の分かれ目となる。
個人開発SaaSで夢を見るZ世代の多くは、アイデアと開発力は図抜けていても、ビジネス全体を俯瞰してトータルで動ける人は多くない。
その結果、チームで開発を目指すパターンが多くなる。
チームで事業化すれば、当然大きなビジネスを目指せる土俵はできるが、黒字化までの道のりで、途中でキャッシュアウトして断念するケースも多い。
個人、つまりたった一人で、会社員をやりながら、副業でビジネスとしてSaaSを立ち上げる人は多くないと思われる。
SaaSビジネスを成立させるには、アイデアと開発力だけでは実現できないからだ。
・アイデア
・開発力
・ユーザ獲得
・マネタイズ
・法律
・ユーザサポート
・機能改善
・決済手段
・法人化
・継続性
どれ一つ欠けてもいけない。
SaaSの成功の可否は、アイデアや開発力以上に、継続性が大切だと感じている。
継続性が担保できないと、ユーザから信頼されないし、当然お金も払ってくれない。
日本社会は「実績」を求める。
スタートアップの段階で実績なんてあるはずもない。
実績は「時間」を味方にする以外に手にすることができないからだ。
つまり、会社員をしながら、SaaSをローンチし、たとえユーザが一人もいなくても、サービスを提供し続けている「実績」が何よりも大切である。
ビジネスでは信用力が勝敗を決める。
信用は時間と実績が伴って信用力を手できる。
個人開発だからこそ、実質の維持費が自分の稼働分だけで済み、すぐにお金にならなくても、会社員からの収入があるので、焦らず時間を味方につけられる特権も有している。
私はまだ成功したといえる段階には到達していない。
過去の本コラムでも公開しているが、まだまだ生活できる水準には到達できてない。
◆ 過去5年間のSaaSでの売上推移
2018年 800円
2019年 4,000円
2020年 131,000円
2021年 833,878円
2022年 1,342,646円(3,927,591円)
( )内は、SaaSから派生した個別案件受注分を含む金額
会社員を完全引退して、自分SaaSだけで飯を食っていくには、最低でも年間売上1200万円以上必要だ。
正直、この目標にいつ到達できるか見通しは全く見えていない。
しかし、コツコツと増えているお客様に利用し続けていただくためにも、努力を怠らず、時間の経過とともに実績と信用を毎年確実に積み上げはできていると実感している。
走りながら、実績を積み上げる。足りない部分が出てきたら、淡々と補填し続ける。これを繰り返す。
個人開発だからこそ、毎月のコストを気にせずに淡々と実行できるのだ。
自分の稼働費はゼロ計上。実質の維持費はサーバ代程度。経営赤字の心配が全くないから時間を味方つけられる。SaaSビジネスのメリットである。
提供中のサービスが、世の中からニーズがあると確信できてさえいれば、自分を信じてい一歩一歩積み上げていくのだ。
成功と呼べるまで辞めなければ良い。これこそが成功への道ではないだろうか。
他の方の個人開発SaaS系のブログを読んでいると、たくさんリリースだけして、マネタイズをはじめ、ビジネスに必要な販管要素をおざなりにしているケースが目立つ。
ビジネスにおいて、サービスそのものへの投資範囲は全体のうち20%程度である。
それ以外は、販売に必要な資料作成や、マーケティング、会計処理、契約手続きなど、商品以外の稼働のほうが圧倒的に時間も稼働も取られるのを理解しなければならない。
どんなに優れたサービスであっても、認知されなければ何も始まらないし、法人相手に必要なお作法も一通り対応できなければ、お金を払ってくれるフェーズに到達できない。
そして、私が4年間、実際にサービス提供するためのマーケティングを行うにあたって、最も重要なのは、見込み客の選別である。
売上が立つまで、特に顧客が法人相手の場合は、開発者目線ではめまいが出るほどの数多くのプロセスを踏まなければならない。
法人相手のビジネスでは、個人向けとは異なる世界が存在するのを受け入れる必要がある。
お金になりそうなお客様と、問い合わせだけしてくる冷やかしお客様とを正しく選別するのだ。
これを正しく行わないと、顧客対応の稼働だけかかって、蓋を開ければ一銭もお金を払ってくれないケースは枚挙に暇がないからだ。
最近は、この手の嗅覚が鋭くなったと思う。
売上が立つまで手間労力に見合わないと見込み顧客と判断したら、容赦なく損切りする。
形式的な回答だけして、それ以上相手にしない。
その分、購入してくれそうな確率の高いお客に対しては全力でリソースを捧げるのだ。
数少ない本コラムの読者様に伝えたい。
まだまだ時間はかかりますが、必ず成功した姿をお見せするので、これからもゆっくり更新にはなりますが、お付き合いください。