お断り:本記事はBtoBを前提にしています。
事業を行うのは売上が必要、売上を立てるにはお客様が必要だ。
技術系の人に事業の話をすると、たいていの人は「アイデアがない」「アイデアがあれば」と口にする。
実際はアイデアなんてなくても良い。画期的なアイデアを思いついただけでは売上は全く上がらないからだ。
画期的なアイデアが思いついてから売上に結びつけるには、アイデア出し以上に多くのステップをクリアしなければならない。
- アイデアを商品にする
- 商品をPRする
- 商品を理解してもらう
- 商品の詳細説明する資料を作る
- 商品を買ってもらう仕組みを作る
上記のうち、一つでも欠けたら売上は1円も立たない。
全部揃えても1円の売上を立てられるまで苦労するのが事業の世界である。
苦労してでも自分で事業を起こす最大の理由は、お金に縛られない世界を手にするためである。
お金に縛られるとは、
お金を払ってくれる人に逆らえない環境を指す。
人生を過ごす上で、必要なお金を払ってくれる会社からの命令、給料額に左右される上司からの命令に逆らえない環境に身を置くのが被雇用者、いわゆるサラリーマンである。
生活するための収入源を会社からの給料のみの100%依存している限り、会社から無理難題を押し付けられても、ストレスを抱えてながら、耐えて、耐えて、指示に従うしかないのだ。
確実に、早くお金を手できる方法ほど、お金を払ってくれる立場に逆らえない立場に依存するのだ。
たとえ被雇用者から自営業に転身しても、元請け会社からの売上に依存する独立事業だとしたら、お得意様のご機嫌を伺いながら仕事を受注する時点で、お金に縛られている世界と大きく変わらない。
自営業とサラリーマンとの違いは、時間的な縛りがなく、ある程度時間のコントロールができる差であって、常にお得意様である目先の顧客のご機嫌に注視しながら、安定した発注をいただけるよう心配りを続けている事業形態である限り、サラリーマンが会社の命令に従う環境と同等といえる。
個人が独立して事業化する方法として、安定した売上をすぐに手にできる下請け業か、売上を作るまで時間と労力がかかっても、元請けを目指す方法のどちらを選ぶかで、お金に縛られない環境を手に入れられるかが決まる。
表題にある「マイクロ法人が取引してはいけない危険なお客様」は、後者の場合についてである。
ゼロベースから元請けビジネスを成功させるには、インターネットという大海原の中からWEBサイトを通じてSEOや広告経由で問い合わせのあった見込み客から、実際にお金を払ってくれる「お客様」を発掘し、売上につなげていくしかない。
商品やサービスを、直接購入するまたはサービス利用する企業に提供するスタイルが元請けビジネスだ。
顧客に縛られない事業とは、言い換えると、新規の見込み客からお金を払ってくれるお客様を発掘ができる事業であり、元請けビジネスこそが、ゼロから事業を起こすモチベーションだと思っている。
そのためには、見込み客の中から、危険なお客様になりそうな兆候をいち早く嗅ぎ分け、取引しない選択肢を備える必要がある。
創業初期は、早く売上を立てたい思いから、お金を払ってくれそうな人なら、なんでも「請け負います」と宣言して受注優先したくなるが、一歩間違えると、受注金額以上に支出を要する場合もあるのを知っておかなければならない。
危険なお客様とは受注金額以上に稼働や経費が発生する案件、すなわち「赤字受注」となるお客様のことを言う。
では、どのようなお客が危険なのか。
- 値引交渉をしてくる
- 価格重視な発言
- 商材をきちんと調べずに質問してくる
一見、ビジネス慣習上、当たり前のように感じる人もいるかもしれない。
しかし、自分で事業を立ち上げ、元請けビジネスを行う場合は、この3点に関連する見込み客とは取引してはいけない。
売上が0円状態だと、一日も早く売上を作りたい売上優先主義になりがちだ。
売上をすぐに上げたい意識が強すぎると、上記3点に遭遇しても、なんとかして受注を優先しようとしてしまう。それが失敗の元凶となるのを知っておきたい。
元請けビジネスは軌道に乗るまで即金性がないのが最大のデメリットである。
それでも時間を掛けてでも元請けにこだわる理由は、お客様を選ぶ権利が持てるからだ。
下請けビジネスは、お得意様がいて、安定した売上が即得られる魅力がある反面、お得意様に嫌われたらビジネスも終わる。
その点、元請けビジネスなら、1社に嫌われても、顧客が分散しているのでリスクが少ない。
元請けビジネスは、ビジネスを軌道に乗せるまで膨大な時間が必要だが、間接稼働が多くかかり、実質赤字になりそうな見込み客だと判断すれば、事前に排除できる立場でもある。
マイクロ法人による事業では、危険な顧客を相手にすると、最も大事な時間という財産を多く奪われるのだ。
特に先に書いた3点に該当するケースは大企業に多い。
マイクロ法人が、はじめて大企業から問い合わせなどの連絡があると気持ちが舞い上がってしまいがちだが、私の経験上、大企業ほど冷静に対応しなければならない。
大企業ほど、取引できるまでに多くの書類や手続きが必要で手間がかかるからだ。
そして大企業ほど、会議や営業トークから情報だけ吸い取られ、結局取引されずに連絡不通になる可能性が高いことを知っておきたい。
断る勇気をもとう。