2025-06-18
法人名義で車を買うときの落とし穴
法人で車を購入しようと考えている方へ。
個人での購入と違い、法人名義での車購入にはいくつか“見落としやすい壁”が存在する。
本コラムでは、実際に法人での車購入を検討している方に向けて、「車庫証明の取得」「所在地証明の必要性」「登記住所と営業所の違い」「必要書類」「個人購入との違い」など、知っておきたい重要ポイントをまとめて解説する。
法人名義で車を買うと、何が違う?
まず大前提として、法人で車を購入するときには、個人とは異なる申請手続きや必要書類がある。
・必要書類が多い(登記簿謄本や所在地証明など)
・ローンやリース契約の審査が法人基準
・自動車保険の条件が法人用に変わる
・経費計上や減価償却など、会計処理が必要
「節税になるから法人で買おう」と安易に判断してしまうと、手続きでつまずくケースも。
だからこそ、事前に全体の流れと必要な準備を理解しておくことが重要だ。
最大の壁は「車庫証明」|所在地証明が必要になるケースも
車庫証明の取得は、法人購入における最も多いつまずきポイントだろう。
とくに以下のようなケースでは注意が必要だ。
<登記住所と実際の営業所が異なる場合>
車を保管する予定地が本社ではなく営業所の場合
このようなとき、単に「そこに車を置いている」と言うだけではダメで、「ここが使用の本拠地である」という証拠、つまり所在地証明の提出が求められる。
所在地証明に使える書類とは?
所在地証明として有効な書類の例は次の通り。
・電気・ガス・水道などの公共料金の明細
・インターネットや電話の請求書
・賃貸契約書(契約者が法人名義であること)
・郵便物の封筒
いずれも、住所・法人名の記載が必須だ。
注意点:
新たに営業所を開設したばかりで、まだ請求書や郵便物が届いていない場合は要注意。
その場合は、賃貸契約書や申請書への「理由書」添付など、警察署ごとの判断によって対応が変わるため、事前に確認しておこう。
法人での車購入に必要な書類一覧
法人で車を購入・登録する際には、以下の書類を事前に準備しておかければならない。
・登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
・法人の印鑑証明書
・使用本拠地を証明する書類(上記参照)
・法人代表者の本人確認書類
・自動車保管場所証明申請書(車庫証明)
・配置図・所在図(保管場所の図面)
ディーラーや行政書士に任せる場合でも、結局はこれらの書類を用意する必要がある。
抜けや不備があると登録が遅れ、納車が延期されることもあるため要注意だ。
個人と法人のどちらで買うべき?判断の基準は?
結局、法人名義と個人名義のどちらがよいのだろうか。以下の観点で整理すると判断しやすくなります。
個人名義
必要書類:少ない
ローン審査:本人の信用
経費処理:不可
保険:個人向け
法人名義
必要書類:多い
ローン審査:会社の信用
経費処理:可(業務用に限る)
保険:業務用保険
※あくまで「業務利用」が前提である。プライベート利用メインで法人名義にすることは、税務署から否認される可能性があるので注意したい。
おわりに
法人名義での車購入は、節税や事業運営の効率化といった面でメリットも多い反面、手続きや書類準備の面でハードルが上がる。
特に「車庫証明」「所在地証明」「登記と実態のズレ」など、事前に知っていないと対応が難しいポイントが多いため、準備は慎重に。
本記事が、法人での車購入を検討している方の参考になれば幸いだ。