2026-01-27
「まだ大丈夫」が30年続いた結果、横向き親知らずを放置した53歳男の末路
先日、横向きに生えた親知らずを大学病院で抜歯した。
その親知らずは、完全に横倒しの状態で生えており、町の歯医者ではほぼ例外なく
「この歯はうちでは抜けません。抜歯するなら大学病院へ行ってください」
と断られるレベルの代物だった。
ちなみに、ほかの親知らず3本については、22歳のときに比較的簡単に抜歯を済ませている。
ところが、残った最後の1本だけは話が別だった。
どの歯医者でも「これは大がかりな抜歯になる」と言われ、「今は悪さをしていないので、様子を見ましょう」という判断のもと、そのまま放置することになった。
気がつけば、そこから30年以上が経過していた。
実際のところ、大きなトラブルもなく過ごしてきたのだが、年齢を重ねるにつれて状況は少しずつ変わり始めた。
歯茎の奥に隠れていた親知らずが徐々に顔を出し、50歳を超えたあたりから、親知らず周辺に食べ物が頻繁に詰まるようになったのである。
そんな中、別の歯の治療で歯医者を訪れ、CT撮影をしたところ、親知らずの下側に膿疱のような影が確認された。
このまま放置すると、顎の骨が徐々に溶けていく可能性があるとの説明を受け、ついに抜歯を決意。大学病院への紹介状を書いてもらい、約2か月後の先日、手術に臨むことになった。
当初は「全身麻酔が必要になるかもしれない」と町医者から言われていたが、大学病院でCT画像を確認した担当医からは、
「局所麻酔で問題なくいけます」
との判断が下され、正直なところ少し拍子抜けした。
なお、通常の抜歯であれば1分程度で終わることも珍しくないが、私の横向き親知らずは約15分を要した。
歯茎をメスで切開し、歯を電動カッターで3分割。分割した歯を一つずつ取り出すという、なかなかの大工事である。
しかも、歯の根の先端は「下顎神経」と呼ばれる、口周りの感覚を司る重要な神経のすぐ近くに位置しており、少しでもミスをすれば、舌周辺の神経麻痺を引き起こすリスクがある状態だった。
抜歯後は、歯茎の奥に溜まっていた膿疱を、神経を傷つけることなく丁寧に除去。
淡々と、しかし非常に正確な手つきで処置が進められ、最後に歯茎を3針縫合して手術は終了した。
担当してくれた大学病院の医師は、見た目はかなり若かった。
町医者のベテラン医師たちが躊躇するほど難易度の高い抜歯を、その若い先生は驚くほどあっさりと終わらせたのである。
「この先生と、虫歯治療を主に行う町医者とでは、一体何が違うのだろうか」
そんなことを考えさせられた瞬間でもあった。
手術は昼前に終わり、そのまま帰宅。
最大の不安は、抜歯後の痛みがどの程度になるのか、という点だった。
案の定、麻酔が切れると抜歯した箇所に痛みが出始めた。
ただし、その痛みは想定内で、痛み止めを飲めば十分に我慢できるレベルだった。
「あれ? これ、意外と楽勝かも?」
そう思ったのも、その日までだった。
翌日になると、歯茎を切開した痛みはやや軽減したものの、今度は親知らずの隣にあった健康な歯の強烈な知覚過敏に悩まされることになった。
横向きに生えていた親知らずは、手前の歯と密接していたため、抜歯によって歯の根元が露出。
その結果、冷たいものや刺激に対して神経が過剰反応し、強い知覚過敏が発生したのである。
この痛みは、痛み止めを飲んでも完全には消えず、何日も続くことになった。
この記事を書いている今も、ジンジンとした違和感を抱えながらキーボードを叩いている。
昨日よりは多少マシになったものの、まだ痛みは残っている。
ネットの記事によれば、1週間ほどで歯の周囲に保護膜ができ、次第に染みなくなるらしいので、それを信じて耐えているところだ。
一般的に、年齢を重ねるほど顎の骨は硬くなり、抜歯は困難になると言われている。
それでも、53歳の私が無事に抜歯を終えられたのは、担当してくれた大学病院の先生のおかげであり、心から感謝している。
もしこの記事を読んでいる方の中に、「抜いたほうがいい」と言われている親知らずを抱えたままの方がいるなら、声を大にして伝えたい。
親知らずの抜歯は、できるだけ若いうちにやっておいたほうがいい。
さて、私の知覚過敏生活は、いったいいつまで続くのだろうか。